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◆木更津市は、住基カードをもっている人が5,000人。
少ないかと思っていた。でも、この学習会に参加し、他市の方に聞いたら、木更津市はとても多いことが
わかった。 県下で3位。
◆木更津市では、11月から市役所や公民館にある支所にいかなくても、24時間コンビニでも、一部の書類
が交付してもらえるようになる。
そのためには、住基カードがあると便利だからと呼びかけているところである。
◆今回の震災では、津波で市役所が流された所もある。
この新しい制度は、番号がわかれば、いろいろな手続きがスムーズになると知り、よさそうなシステムと
思っていた。
この制度を導入すれば、年金や医療関係の健康保険、介護保険などもつながり、滞納や申請漏れ、
給付漏れもなくなり、便利になるかなと思っていた。 |
以上のことから、学習会で学んだことを報告します。
まず、住基ネットの導入のときに、反対していた国会議員のほとんどが新しい制度は賛成。90%近くが賛成の雰囲気。大綱ができると、次の国会には法案になる。すでに、大綱ができているので、H26.6月に国民の目にふれることになります。
社会保障・税番号大綱(案).pdf
社会保障・税番号大綱(概要)(6月30日取りまとめ).pdf
▶正確な本人確認 所得などの情報を把握、その情報を社会保障、税分野で効果的に活用、IT化で効率
的安全に情報連携を行う、真に差し伸べるべき者への社会保障の充実、負担、分担の公正性の確保、
行政の効率化とうたっています。
▶大綱に、「災害時における活用」が盛り込まれたのは、2011.4月でした。
▶ 「真に差し伸べるべき者」とは、具体的に書かれていません。
生活保護や介護、障がい者、高額医療などの精査が進みます。
▶3か月以上滞在している外国人も、来年7月から住民票ができ、外国人登録ではなく住基ネットの新たな
番号を取得することになります。
▶ 所得の把握が完璧になるのは、給与所得者の大半。
低収入の非正規労働者からも容赦ない。
扶養家族の学生のバイトも把握されるようになり、課税されることになると知り、びっくり。
▶住基ネットのカードと違い、受取拒否はできず、おぎゃーと生まれたあかちゃんが出生届を出したときか
ら番号入りのカードをもらうことになります。
▶企業も番号をもらい、どこから給与をもらうかすべて把握される。
銀行に新に通帳を作るときも、番号がいるようになります。
▶ITが進めばお金がかかります。6,000億が初期投資。
▶日本は、住基ネットの際に、個人情報が表にでないようにとしていたので、それぞれの分野をつなぐとき
に暗号化された符号でつなぐとのこと。
▶共通番号のすすんでいるスウェーデンは、番号入力で通帳や住所など、いろいろ把握できるので、
DV被害者が逃げても加害者にみつかり、結局国外に逃げたという。そう考えると、親の虐待から逃げて
隠れて生活している子どもの身の安全も心配です。
▶最後に、災害時に役に立つといわれては、やはり、そうかと思ってしまうでしょう。
講師は、実際に震災にあった役所の職員から聞き取りました。
広くみなさんにお伝えくださいとのことでしたので、ここに載せます。
震災の現場から(社会保障)共通番号を考える
気仙沼 |
社会保障・税番号大綱(案)の中で 「(7)大震災度における真に手をさしのべるべき者に対する積極的
な支援」という項目があります。
そこでは、震災被害者に対する「中・長期的な取り組みが必要であり、番号制度の迅速な導入は、これ
に資するもの」とされています。
また、その後段の「(3)災害時の活用に関するものとして、要援護者リストの作成や更新、災害時の
本人確認、医療情報の活用」などが図られる、としています。
さて、情報大国日本では、戸籍と住民基本台帳という世界でも希な探知システムを採っており、実に緻密
なネットワークを誇っていると自治体職員は理解しています。その上に、またぞろ屋根をかけていく、この
動きは、いったい何を真にねらっているのだろうか、と勘繰るのだけれども、これは自治体職員の健全な
反応でしょう。
そこに行く前に、「共通番号は震災対応に役立つか」について考えてみます。
着の身着のままで震えながら冷え切ったおにぎり1個で夜を明かしたあの夜。
災害初期の段階では、誰が誰であるのか、ということよりも、「誰が無事であるのか」という安否情報と
今食べるものが最大の課題であり、まさに避難民の群れとなった住民への衣食住の世話で終始します。
「数」の把握であり手当です。そこには住民であろうが、なかろうが関係はありません。迅速に平等にと
サービスは求められます。
要するに、「生き残っている人がどこに、何名いるか」がすべての始まりであって、そこが出発点となり
ます。
医療とて、基幹病院が生き残っているかどうか、が大きく影響します。本人のけがの状態と自己申告で
サービスがなされるのであり、本人の病歴確認が行われるのは、ずっと後からとなります。
今回のような波高10~30メートルという津波は、日中でほとんどが起きている時間であったからこそ
助かった方々が多かったのですが、夜間であればこの何倍もの人が亡くなっていた規模であり、職員の
実感でもあります。
カードや情報というものは、持ち出せて初めて使えるものだし、今回の震災は震災直後に停電となりまし
たから、夜間であればほとんどの人が持ち出せないことを前提に災害時を想定しなければ、想定の意味
がありません。さらに今回の被害は甚大で、住民情報を統括する市役所そのものがなくなったところもあ
ります。カードを提出する先がなくなっていれば意味をなしません。また、仮にそのうえで情報を統括する
国(企業)があったとしても、今後予想される災害で被災した場合は想定されていないようです。これは原
発でみられるように致命的な欠陥です。
共通番号という形で情報を一極集中させるというのは、もし、その管理するところが被災した場合、大事
な情報をリンクしていればリンクしているほど統御不能に陥りやすい性格をはらみます。効率化の裏面
には必ずリスクを背負っていることを数々の原発事故は教えています。今回の大震災からは、だから、
情報の集中ではなく、分散を教訓として受け取るべきです。
保険証も免許証も車も財布も家も流された今回は、複数の情報から本人を特定できる自治体職員の室
に支えられたのであり、生き残った住基や固定資産情報が復旧の柱となったもので、このことに不足を
感じている職員はいません。
要援護者リストは、市の機能が生きている限り過不足なく整えられたし、真に必要なのは、住民と接する
経験を積んだ人でだけでした。
不必要なアイテムは、迅速な処理に水を差すばかりか、邪魔でさえあります。
さすがに、国は震災の初期から役に立つということは強弁できず、仕方なく「中・長期的な」スパンで役に
立つと主張せざるを得なかったのでしょう。
しかし、その支援もよく見るとおかしいのです。たとえば服薬情報を付け込んで、必要な薬品を届けるこ
とができるというのを見てみると、数千~数万単位での避難の場合、そんな情報に頼ってはいられませ
ん。とにかく必要と思われる資材すべてを迅速に届けなければならない。
服薬している被災民を誰が特定できるのでしょう?
どこに避難しているかもわからないのに、どうやって届けるのでしょう。
窓口で避難者からカードを預かって入力して送るのでしょうか。
だれがそんなまどろっこしい方法をとるものですか。カードがなくても対応は十分できた。
それがこの震災の教訓ではないでしょうか。さらに、医療情報が付け込まれていれば、という前提に
立って利活用を説くのは、はたして妥当でしょうか。
そもそも本人の意思次第というのは情報の質として「参考」程度にしか扱えないはずです。
そんな「参考」情報を作って維持するのに億単位の金と数万人の手を煩わせ続けるというのは、政策とし
ていかにも間抜けです。
どうも私たちの実感で言えば、自治体の事務として積み上げてきた年金業務を、あまたの反対の中、
国に吸い上げて、歴史に残る大失敗をしでかしたものだから、起死回生策としてすがりついたあげくの話
ではないかと思われ、これこそほんとうの「恥の上塗り」でしょう。
国が共通番号を通じて、いろいろな利点を言えばいうほど、特にそのことが大震災で役に立つなどと、
言われれば言われるほど、「現場を知らない」官僚とがっぽり儲けるであろう開発メーカーに対して腹が
立ちます。
被災地の声に、共通番号が必要だという声は皆無です。
どうか、そんなことよりも、そんなものよりも、自治体職員を正しく評価してください。国に先駆けて
全面支援を行った「関西広域連合」、休みなく人を送り続けるボランティア団体、黙ってもくもくと支援して
くれるこういう人々に拍手を送ってください。国は敗れても自治はあります。
☆詳しく知りたい人へ
本を購入しましたので、読みたい方は貸し出します。事務所へお電話ください。
・ 新たな共通番号制度について、わかりやすい本「どうなる。どうする。共通番号」森信茂樹 著
推進派の本で、表面的だけど、解説として読むにはわかりやすいとのこと。さっそく購入しました。
・ 「雇用崩壊と社会保障」伊藤周平 著 もおすすめとのこと。これもさっそく購入しました。
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